自然保護の知識と行動

「山の栄養の旅」の終わりは海です
 



 

豊かな山の栄養は、多様な生物の営みから生まれ、渓流を流れ下り、小川を流れ川をゆっくり下って海へとたどり着きます。
海の漁師さんや漁協の婦人部や青年部の人たちが山へコナラ・ミズナラ・ミズキ・ブナ・スダジイ・ツバキ・クスノキ・トチノキ・ウリハダカエデ・シラカシ・タブノキなどの木を植えに行くという話を聞いたことがありますか。

漁師さんの森づくり・森は海の恋人などと言って、今では全国にその考えが広がって「漁民の森づくり」と言う名前で事業が行なわれています。
特にカキの養殖をしている漁師さんたちはカキの成長には山の栄養が必要であると言うことをよく理解されていて、上流の山に行って木を植えています。

海に幸をもたらしてくれる豊かな山になってもらいたいという願いがその活動には込められています。山の栄養が必要なのはカキだけではありません。
海にたどり着いた山の栄養は海の植物プランクトンに栄養を与え、それが動物プランクトンへと移り、小さな生き物の餌となり、小魚の餌となり、大きな魚の餌となります。私たちが日常食べている魚介類は山の栄養と関係があるのです。東京の川にアユがよみがえったという話を聞きました。川で生まれた稚魚が海へくだり、大きくなって苦労しながら川を遡上していくという話です。

人工浜によって海で生きていける環境が整い、また川沿いに住む人たちが川の水をきれいに大切にするという努力が実ったということでしょう。アユが産卵するためには、上流のきれいな砂場が必要です。生きて行くにはきれいな藻が必要です。稚魚が育つ海もきれいでなければいけません。これらは全て関係し影響しつながっているのです。食物連鎖を思い出してみてください、けっして「山の栄養の旅」の途中で水が毒されてはなりません。私たちは川の水を毒してはなりません。化学物質はけっして消えてなくなることはありません。ただ拡散するのみなのです。

毒を混ぜると最終的には海の生き物に入り、めぐりめぐって海の恵みをいただいている私たちの体へ入り蓄積されていきます。私たち人間と全ての生き物に、きれいで豊かな山、きれいで豊かな川、きれいで豊かな海が必要です。



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高見豊

日本野外生活推進協会

 

 
 
 
 
             
 
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