自然保護の知識と行動

地球は閉鎖系です
 



 

今回は地球について考えてみたいと思います。
太陽の光や熱は毎日地球に降り注いでいます。その光や熱は地球に当たり吸収されたり、跳ね返って地球外へ放出されたり、一部の熱は地球を取り巻くガスによって再び地球に戻ってきたりします。地球に吸収された熱と、大気の温室効果で地球上は寒すぎず、暑すぎずバランスしています。地球上に生存している生物にとって都合のいい状態にあります。というより、生命は今の大気の状態に長年の間に適応してきたというべきでしょう。
地球は太陽の光や熱・宇宙線や素粒子や隕石など入ってくる物には開放系です。
しかし、地球誕生の46億年前から地球の物質は隕石の衝突を繰り返し大きくなりました。隕石の衝突で地球の一部がちぎれ月が誕生するという歴史的な出来事はありましたが、それ以後も物質は増え続け減ることはありませんでした。地球上の物質は、しだいに重いものは地球の内部へ沈み、磁場を持ち、自転するようになりました。
すべての物質(空気や水も)は地球の中心へと引かれる力、重力(引力)によって地球の表面にとどまり続けます。
まるで、地球は周りを透明のバリアでおおわれてガラスの球体の中に入っているがごとく、地球内の物質においては閉鎖系なのです。
空を見上げていると大気は宇宙へと、どこまでも限りなく続いているように思えます。しかし、私たちは、どれくらい上空まで酸素マスクなしで行けるのでしょうか?地表から10〜16`を対流圏といいます。空気の80%は、その対流圏にあります。 上空にいくほど空気は薄くなります。
世界最高峰8,848メーターのエベレストの頂上では数時間しか居られません。
人工衛星が飛んでいる地球から600キロ離れたところでは人間は宇宙服が無ければ死んでしまいます。
地球を仮に直径1.5メートルのボールだとすると、現在の地球の直径は12,756キロですから、対流圏の厚みは1ミリの厚みということになります。
その大気は太陽の熱によって温められ地球の表面を循環しています。
大気に国境はありません。南極や北極にも大気はあります。地球のどこかで、深刻な大気汚染がおこれば対流によって世界中に拡散してしまうのです。
地球が物質的に閉鎖系であることを認識することは、大気を汚染してはならないということを知る上で非常に重要なことなのです。閉鎖系である地球を知り、空気や水や全てのものが循環していることを知れば、自然保護のためにどうあらねばならないか、どう行動しなければならないかが分かってきます。

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高見豊

日本野外生活推進協会

 

 
 
 
 
             
 
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