自然保護の知識と行動

地球は閉鎖系です その2
 



 

前回、地球が閉鎖系であることを認識することが環境問題の理解に必要であると述べました。また、大気の厚みは想像しているよりもずっと薄いということ、その大気を頼りに私たちは生きていることがお分かりいただけたかと思います。誰が言ったか、地球はまるで宇宙に漂う宇宙船のようです。
大気の対流圏の上にオゾン層があります。オゾン層(O3)は植物の光合成によってつくられた酸素が上空にたまり何億年もかかって形成されたものです。
形成されたオゾン層が生き物にとって有害な太陽からの紫外線をカットするようになった6億年ほど前から水の中に爆発的に多様な生物が繁栄していきます。
それから2億年を経て生物は陸上にも進出していけるようになりました。
菌類・植物・昆虫・両生類、そして爬虫類が陸上で繁栄を遂げ、やがて恐竜の全盛期になります。われわれ哺乳類の先祖も2億年前の恐竜時代には登場していたといわれています。
生命は40億年の歴史の中で数々の絶滅の危機に出会いながらも必死に自然に適応し奇跡と偶然に助けられ危機を乗り越え生き続け現在に至っています。
これから先、宇宙の歴史が何千億年続いたとしても、地球に人類が誕生したような奇跡は二度と起こらないように私には思えます。
大気と水が存在し生命が息づいている地球は本当に奇跡の星です。
しかし、のんきな宇宙船地球号の住人である私たち人間は適応してきたはずの自然を変えようとしています。大気の成分を変えようとしているのです。
何億年か前に地表に有った物質が化石となって地下に眠っています。
産業革命以後、人類はそれを掘り出し、地表で使用するようになりました。
現在、石油・石炭・天然ガスや重金属やウランなど多くのものを地表で燃やし使用し、それに依存しています。燃やすと大気中に古代のガスが出て行きます。
また、何億年もの間に徐々に形成されていったオゾン層に数十年で穴を開けてしまいました。壊そうとしてやったのではないと分かっていますが、その代償はこれから生きていかなければならない次世代の人たちが払っていかなければならないことになったのです。
大気の成分を変えると空気と水の対流によって気象に異変が起こります。
オゾン層を壊したら有害な紫外線が降りそそいできます。
7億年前の地球を思い返してください。有害な物質が地表にあり、紫外線が強く降りそそいでいました。生命は細々と水中深く身をひそめ生きていた時代で水の中から出られずにいた時代であったことを・・・・・。
私たちの時代に大気の成分や水の成分を変えオゾン層を壊せば地表は7億年前の生命が危険だったころに戻っていきます。
もう一度申し上げます。地球は閉鎖系であり太陽によって生かされ、すべてが循環しています。自然を人間の都合で変えてはならないということです。

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高見豊

日本野外生活推進協会

 

 
 
 
 
             
 
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