Bigムンムンのちょっと役立つ東洋医学

身近な薬草・生薬2
 


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今回からしばらくはシリーズとして、漢方薬に使われる身近な薬草・生薬(しょうやく)についてお話していきたいと思います。
鹿児島県・県民の森の薬草園
さて、記念すべき第一回の薬草・生薬は何がいいだろうかと考えました。いろいろと思いをめぐらし、ふと、記憶の彼方に、数年前、私の師匠に連れて行ってもらった鹿児島県にある『県民の森』の薬草園を思い出しました。この薬草園は山の中にあり地形を生かし薬草・生薬が自生により近い状態で栽培されています。たとえば肝炎の炎症を取るのに使われる柴胡(サイコ)という植物は、南斜面の日当たりのいいところに栽培してありますし、(日当たりのいいところに出来る薬草や野菜、果物は冷やす働きがあります)オタネニンジン(朝鮮人参)はちゃんと木漏れ日の林の中にありました。(体を温めたり滋養する働きのあるものは、日陰に自生します)イボをとったり利尿することで知られるハトムギ(生薬名ヨクイニン)は水の流れのあるせせらぎの所に生えて、何か利尿の効果やいぼを取り去る効果を主張しているようにも見えました。このように薬草(植物)は、自生しているところを観ればその植物の持つ働き・作用の想像がつくといわれています。
見学に便利なように薬草を無理やり並べて栽培しても栽培環境があわなければうまく育たずすぐに枯れてしまいます。薬草園を全国いろいろと観ましたが、このような薬草園は珍しく感動したのを覚えています。そんなこだわりの薬草園の玄関というべき入り口に最初に植えてあるのが意外にも桑の木でした。
なぜ桑の木?
不思議に思い、師匠に尋ねました。その答えは私にとって感動的なものでした。漢方の最も古いとされる基本古典医学書『黄帝内径』の『素問』という本があります。これは東洋医学を学ぶものにとって欠かせないまさに原典の本です。その素問の『素』の字は蚕(カイコ)が桑の葉を食べてお尻から糸を出している象形文字を現しており、まさに『素』の素(もと)は桑であるから、薬草園の最初に植えてあるのだと…。昔から桑の木は余す所なく薬として使われてきました。例えば、桑の葉(桑葉ソウヨウ)桑の実(桑椹ソウジン)桑の枝(桑枝ソウシ)桑の根皮(桑白皮ソウハクヒ)です。薬効に関しては次回にお話します。『喫茶養生記』を著し、お茶を日本に広めたことで有名な栄西禅師は鎌倉時代に宗国に渡り、そこで広く薬として使われていた『桑』と『お茶』を知り日本に持ち帰り病める人々の役に立てようと考えました。その当時の渡海は決死の思いです。そこで栄西は、桑は日本に自生していたので、お茶を薬として持ち帰ったのです。二者選択になるほど広くまた良く使われていたということでしょう。5月の中ごろ、私は、中国は果てウイグル自治区の新疆(シンキョウ)へ行ってきました。街路樹になっている桑の木から桑の実を振り落として食しました。なんともいえない懐かしさを感じる甘い味がしました。

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