Bigムンムンのちょっと役立つ東洋医学

身近な薬草・生薬7
 


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前回は、シリーズとして『甘草(かんぞう)』を取り上げ、漢方薬に使われる身近な薬草・生薬(しょうやく)をご紹介しました。第五回目は、中国や韓国では食材として多用されお菓子や薬用にもなる『なつめ』、生薬名は『大棗(たいそう)』です。

『棗・なつめ』は『李・すもも』、『杏・あんず』、『桃』、『栗』らと重要な五果のひとつ
中国の生薬(しょうやく)市場へ行くと、赤い棗が山高く積まれ売られています。一般的な食料市場に行っても同様に売られ、食品スーパーでも棗はポピュラーに見られます。

『棗』は甘いのですが、さらに砂糖や蜂蜜につけてお菓子としてもよく親しまれています。中国では紀元前から、五果といって、酸っぱい『李』は肝によいとされ、『杏』は心に、『桃』は肺に、『栗』は腎に、そして甘い『棗』は脾や胃に良いとされています。また『棗』は子どもの成長を助け、最近の研究では細胞内のc-AMPを増加させ、エネルギーを生産する働きがあることも報告されています。ほかに、ご婦人の精神安定にも効果があるとされヒステリー症状の緩和に使用されます。
『棗・なつめ』の由来は『夏芽』、初夏に芽が出るから
『大棗・たいそう』は、ヨーロッパ南部からアジア西南部が原産とされているクロウメモドキ科の落葉高木、なつめの成熟果実を用います。日本には奈良時代に渡来しました。茶の湯の道具『ナツメ』は器の形が『棗』の実によく似ているためといわれています。

 『大棗』の組み合わせ
『大棗』と『生姜・しょうきょう』(しょうが)を基本の組み合わせとし他薬を加えると、嘔吐(おうと)や喘息・咳、食欲不振などに効きます。
『大棗』に『甘草・かんぞう』を基本の組み合わせとし他薬を加えると、動悸(胸腹部の拍動感)や臓躁(ぞうそう)といって、現在のヒステリーに似て、訳もなく悲しんでないたりして自制がきかなくなったりするものに効きます。

『薬食同源・やくしょくどうげん』
これを使った漢方薬に『甘麦大棗湯』(かんばくたいそうとう)があり、この薬の中味は、前回述べた『甘草』5gと『小麦』20g(生薬名・しょうばく)といって食料品の小麦(コムギ)と『大棗』6gの3つの生薬だけを加えたものですが、これがなんと、ヒステリー発作や癲癇(てんかん)の大発作に大変よく効きます。他に、不眠症や自律神経失調症、そして小児の夜鳴き、などに証に合わせて使います。普段食べている食品を組み合わせ、構成比率を合わせるだけで薬として立派に働くのです。
まさに、『薬食同源』、東洋の経験医学の不思議なところです。


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