Bigムンムンのちょっと役立つ東洋医学

 
コブシのつぼみは『辛夷(シンイ)』といって漢方薬に使います
 


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前回は、丹波名産品で世界一の品質と称される『丹波黄連』を取り上げ、ご紹介しました。今回は、丹波の春の山々を彩るコブシやタムシバ、モクレンなどのつぼみ『辛夷』についてお話します。この鼻炎の季節に、鼻づまりを通し、頭痛を止め、副鼻腔炎や鼻炎に効く『辛夷』が採れるというのは、なにか因縁めいて面白いですね。

『辛夷』は日本ではコブシやタムシバ、中国ではモクレンやボウジュン

コブシはモクレン科の落葉樹で日本特産の植物です。漢方薬に使われる『辛夷』はコブシの花のつぼみやコブシに似た落葉高木のタムシバ(柳葉木蓮)のつぼみを乾燥させて使用します。中国で『辛夷』は元来、中国原産の木蓮(モクレン)やハクモクレン、ボウシュンなどの花蕾を乾燥したものを用いていました。当時日本にはなかったのでコブシやタムシバで代用しました。このように、植物を表す漢字は、しばしば日本と中国では異なる植物を指すことがあります。例えば楠(クスノキ)は、中国では科も全く違う植物のタブノキ、また、山茶花(サザンカ)は中国ではトウツバキを指します。一方、椿(ツバキ)は中国では全く違う植物のチャンチンを指します。ややこしくて頭がこんがらがりそうですね。やはり万国共通の『学名』なるもの(薬科大学時代は覚えるのに苦労しました)、必要だということなのですね。(ちなみにモクレン科の学名はマグノリア、大学のレストランの名前がそうでした。)

コブシの花は農作業の開始を知らせる合図

早春のぼんやり霞んだ萌黄色の山々、コブシは他の木々に先駆けて咲き、大きな白い可憐な花々が、そのアクセントととなり風に揺らぎます。丹波の山里の春。平穏さがにじみ出る田舎らしい私の好きな風景です。コブシには別名が多く、タウチザクラやタネマキバナ、地方によってはイモウエバナとも呼ばれ、昔からコブシの開花を見て、農家は農作業を始めたようです。また、たくさんの花をつければ、豊年などと占われることもあります。

『辛夷』は鼻づまりを通す薬効が!!

『辛夷』は開花直前のつぼみを採取し風通しの良いところで、モクレン・タムシバは日干し、コブシは陰干しにしてから使用します。これらの花蕾は毛筆状で、外面に細かい毛が密集し、特有のにおいがします。出来るだけ大きく充実したものが良品です。
主成分はシトラールやオイゲノールなどを含む芳香性の強い精油です。普通、花は開花してから芳香しますが、コブシやモクレンの花はつぼみのうちから芳香するほど強い香りを放っています。タムシバはコブシより香気が強いので日本産の『辛夷』は近年ほとんどタムシバです。漢方では鼻のつまりを通す要薬としてよく知られ、蓄膿症や鼻炎などよる鼻づまりや、頭痛や歯痛などに用います。このつぼみが開き花咲く時、はじけるように力強く咲きます。それはまるで閉じた穴を開くがごとくのように…。つまった鼻がスカッと通るのもわかるような気がします。

 


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