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《文章・写真》 一級建築士 才本謙二先生

たんばに住もう・たんばで暮らそう

12 色について

 

 

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 色について書きたいと思います。(最近はブログのようになってきて、私見を気儘に書いています。)私には、二人の娘がいるのですが、それぞれ名前の一文字に色を入れています。長女は藍で、次女は紫です。小さいころは、人にはみんな色がついていると思っていて、近所の子に「○○ちゃんは、何色?」って聞いていました。聞かれた本人は、きょとんしていたのを思い出します。その色でなく違う意味での色は、みんな持っていることを知り得て、そこまで踏み込んで聞いていたとも思えませんが。


 住宅において、柄や色決めは楽しい反面、皆さん一番悩むところです。色は判別できても広い面になるとどう見えるのか想像するのは、難しいようです。見本も小さなキレッパシなので、それで決めてくれと言われても、無理があります。ですから、所謂「無難なところで・・・」と言って決めることが多くなってしまいます。各材料メーカーが指定いる色は、可もなく不可もない「無難な色」で、多分90%の人が良い色ですねと言ってくれと思います。メーカーは、売れ筋を中心に生産するから当然でしょう。しかし、かつての私は、色決めするとき必ずといっていいほど、持論の「7割の原理」を持ち出していました。「7割の原理」とは、70%の人から「良い色」と賛同を得、30%の人が、「大嫌い」と敬遠されると「しめた思う壺だ。」と満足していました。当時は、奇をてらい、少しでも目立つようにと挑戦し続けていましたし、色決めには自信もありました。いくら奇をてらうといっても、当然ピンクなどの原色は使いませんでしたが。今思えばそれは、単体の仕事だったから成り立った話だったのでしょうね。町づくりや景観の仕事をこなすうちに、「7割の原理」は、封印しています。やはり、町の色、経年の色、素材の色が美しいと感じ出しました。一建築家が、自己満足で美しい景色に場違いな色を塗ってはいけないと反省しています。


 町の色や素材の色を使うことに、異論を唱える人は少なく、理解を示されます。ただ、木に関しての経年変化による変色は、中々理解されません。100年経った蔵の黒ずんだ板壁は、当然着色したものでなく経年変化によって色付けられたもので、多くの方が美しく感じると思います。それが新しい板壁が5年ぐらい経って、裾の方から黒ずんでくると、皆さん一同に「汚くなったね」とおっしゃいます。徐々に美しい板壁に変身しようとしているのにもかかわらず。


 確かに木の素材の色は美しいですが、黒ずむことで年輪に歳が渋さを加味します。木の色の後退で無く、成長だと思います。成長過程において一時醜い期間があっても、やがて落ち着いた良い色になりますので、皆さん長い目で見守ってあげてください。逆にサッシなんどの変色しない部材は、変に整形した顔の一部みたいで、どうも好きになれません。

 

 

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