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《文章・写真》 一級建築士 才本謙二先生

たんばに住もう・たんばで暮らそう

14 「遊び」について

 

 

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 「遊び」についてお話したいと思います。所謂、遊ぶこと以外に、機械などで急激な力の及ぶのを防ぐため、部品の結合部にゆとりをもたすことも「遊び」と言いますね。家を建てる時も「遊び」が必要です。建築では、「逃げ」とか「散り(ちり)」などの専門用語で「遊び」を取りながら工事をします。図面通りの寸法で加工し組み立てようとしても、「遊び」がなければ、施工できません。我々若いときはその事が中々理解できず、既存家具の寸法を計りながら、逃げを取らずに仕上げて、納まる位置に納まらなかったという失敗を数多く経験してきました。それでも未だに、職人さんに余裕のない詳細(ディテール)を指示し、ものすごく手間を掛けさせたり、怒られたりというのは、日常茶飯事です。机上で各部位の「取り合い」の美しさや、「切れ」を求めと、限りなく「遊び」のない世界に導かれ、「遊び」を理解できない浅はかな設計者は、迷走し余裕のない詳細(ディテール)を描き続けるのです。


 一般の方には分かり辛いと思いますが、実は、この「遊び」が建物の良し悪しを左右しています。少なくとも名建築と呼ばれているものは、「取り合い」の美しさや、「切れ」を保ちながらきっちりと「遊び」が担保されています。材の特性を理解し、最良の技を使って物を生かす詳細(ディテール)となっています。「遊び」は、建物の懐の深さを表出し、空間に余裕を与えます。何気にこの部屋は、落ち着くのかなあと感じる建物は、しっかりと練り込まれた建物でしょう。

 もうひとつ使い勝手や空間の「遊び」も大事です。動線や収納を無駄なく完璧に計画したとしても、人は中々その通りには動きませんし、物も納まりません。型に嵌めるのは、所詮無理だと思います。そう理解して家造りをすると、一見無駄に見える空間が実は大事な「遊び」だったりします。田舎家が落ち着くのは、無駄な部屋ばかりだからでしょうか。(無駄だというのは現在のライフスタイルに合わないということで、当時は儀式やもてなし空間として必要であったのは、言うまでもありませんが。)今求められているくつろぎの空間は、遊びの空間で「遊び」によって、構成されていると思います。家族の誰かが、急激な行動に出たとしても他の家族が緩衝役になれる心の余裕を持てる環境(家)を、我々は提案しなければならないと思っています。「遊び」だらけの遊びの空間である「やくら」は、もうすぐ完成します。遊び人間の暮らし振りをどうぞ垣間見てやってください。

 

 

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